オーロラ

ヴェルルーンの凍てつく荒野に広がる王国を治める運命にあったオーロラ。しかし、王家の血筋を証明する氷術の才を持たなかった。
自らの血統の力を求めて彼女は旅立ち、伝説の「ブリザードの心臓」を探し求めた。それは冬そのものが結晶化したとされる秘宝。烈しい吹雪に耐え、古代の守護者たちと戦った末に、彼女はついにその氷の核に触れる。しかしそれは砕け散り、彼女を氷河の牢獄に閉じ込め、五世紀もの時を凍らせた。

解き放たれた時、オーロラが見たのは変わり果てた世界だった。王国は廃墟と化し、家族も民もとうに失われていた。そして彼女自身もまた変わっていた――身体は氷痕に刻まれ、吐息は凍えるほど冷たくなっていた。

今や孤独な放浪者となったオーロラは、渇望と後悔の末に得た氷術を振るう。失われた故郷に心を痛めつつも、その新たな力に突き動かされ、氷から新たな遺産を刻もうとしているのだ。血筋の魔力を受け継ぐ者を探し、そして――いつの日か新たな王国を築くために。冬の心臓が再び脈打つその場所を求めて。