フェーズ

Axion Prime の Vexis――ネオンの輝きと汚濁が交錯する街で育ったフェーズは、幼くして特権と貧困の両方を生き抜く術を学んだ。思いやり深く慎重な彼女は、生意気で衝動的な孤児スカイラーと奇妙な友情を築き、彼からこの街の真実を教えられた。
その絆が固まったのはある日のこと。暴走した輸送ユニットがスカイラーに迫った瞬間、恐怖に駆られたフェーズは生まれて初めて力を発現させ、未知の念動力で彼を宙に弾き飛ばし、間一髪で惨事を免れたのだ。
今やフェーズは超能力で周囲の世界のリズムそのものに触れる。ヘッドフォンを通して人々の本質に同調し、それぞれの音色や拍子から絆を紡ぐ。彼女が心を合わせた相手には独自の調和の「歌」が存在し、それは彼女だけに聞こえる旋律だ。その音に自らを同調させることで、導き、守り、あるいは力を高めることができる。
フェーズにとって、Axion Prime の混沌は解決すべき問題ではない。それは踊るべき交響曲なのだ。彼女は人と人の絆を育み強め、その音楽を用いて他者が不協和音しか見出せない場所に調和を生み出す。多くの絆が断たれる世界にあって、彼女は魂の指揮者として立ち、唯一無二の旋律を希望の灯として奏でる――砕けた心がひとつに脈打つときにこそ生まれる可能性を示すために。