モーリゲシュ

謎めいた疫病が Nyxthra を襲ったとき、モーリゲシュの民は容赦ない腐敗に冒されていった。最後に倒れた者のひとりである彼女は、森の薬草を集めて治療薬を作ろうとしたが、その草木自体がすでに病に侵されていた。作った薬は、かえって村の滅亡を早める結果となった。
深い悲しみに沈み、迷信に縛られたモーリゲシュは Grayfen の廃墟を逃れ、Twilight Band の奥地へとさまよい込んだ。
疫病が血管を蝕むなか、彼女はかつて禁じられ、避けるよう教えられていた呪術や儀式に手を伸ばした。毒を抑えるため、周囲の草木や動物へとそれを移す術を身につけたのである。己の内から完全に病を消せぬと悟った彼女は、生き延びるために蔓や根、周囲の生物を呪い、腐敗を移し替えることを選んだ。
己の衰退を防ぐため土地を毒することを余儀なくされたモーリゲシュは、今や森を守る者たちに追われている。彼女は知っている――一度でも立ち止まれば、Twilight Band に解き放ってしまった同じ腐敗に、己が飲み込まれるのだと。