
野望:エメラルドとエンジン
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野望:エメラルドとエンジン
まず最初に明言しておく。Rowark のアーガスはヒーローではない。悲劇の人物でも、呪われた天才でも、進歩の誤解された殉教者でもない。近年、一部の採掘場や三流大学で囁かれ始めている revisionist な物語は虚構だ。彼は「規律を凌駕した知性」と「牙を生やした野心」がもたらす帰結そのものだ。
さて、この記録が金属の籠手をはめた管理官に握り潰される前に基本を押さえておこう。
Rowark は地下に築かれた都市である。私は行ったことがある。そこでは欠乏こそが血脈を成す。食糧は命懸けで得られ、水は配給され、子供は空の形を知る前にツルハシの音を覚える。権力――文字通りの意味でも比喩的な意味でも――は掘り進んだ者に与えられる。深く掘れば掘るほど価値は高まる。苦痛の経済だ。
アーガスは誰よりも深く掘った。
回収された彼の私的な記録を見る限り、彼は執念深いほどに天才だった。そして、金属と炎に触れることのできる天才の多くがそうであるように、その執念はやがて外に向けられた。彼は採掘法を効率化し、道具を改良し、「重力推論」と呼ばれる技術で鉱脈を特定する全く新しい仕組みを考案した。笑える名称ではあるが、どうやら機能していたらしい。
この時期にギデオン――そう、あのギデオン――が Rowark を訪れた。協力のためか、監視のためか、競争のためかは記録によって異なる。ただ確かなのは、二人が共に「機械仕掛けの装置を通して膨大な魔力を制御する」デバイス――ハーネス――を作り上げたことだ。完成した。だが起動できなかった。そこでアーガスは壊れた。予想通りに。
口論――おそらくアーガスの癇癪が発端――で試作機は破壊され、ギデオンは去り、アーガスは残った。
ここから物語は「勤勉」から「狂気」へと転じる。
アーガスは鉱山へと潜り、二年間、地殻の狭間で独り生き延びた。滴る水や甲虫の殻を糧に。恥じて退いたのではない。待っていたのだ。
そして見つけた。
洞窟――正確には断層の空洞――が崩れ、異常な地質現象を露わにした。溶岩流、玄武岩の脈、そして中心に……緑の宝石。輝き、生きているかのような。
彼は触れた。(当然触れた。こういう人間は必ず触るのだ。)
そして引きずり込まれた。後の記録で「魂の嵐」と呼ばれる現象へ。高層大気、あるいは異界に近い次元の元素的な渦。緑の稲光、刃のような風。時間は乱れ、呼吸は不可能。
死の神セヴァログ――そう、受け入れがたい事実のひとつ――が介入した。アーガスを引きずり出し、「それは使えぬ、耐えられぬ」と告げた。
アーガスはどうしたか?解放されるや否や飛び込み、セヴァログを否定するため自ら奈落に身を投じたのだ。
彼は洞窟で目覚めた。宝石はそこにあった。まだ輝いていた。
正気の者なら逃げ出しただろう。だが彼は機械の爪でそれを採取し、Rowark へ持ち帰った。
そこで彼はハーネスを再構築した。独力で。宝石の本質を組み込み、それを「アークルーン・エンジン」と名付けた。
結果?動いた。危険だった。魔術の不安定さと技術的な才気の融合。それにより彼は「採掘の神」となり、富は決壊したダムのように溢れ出した。
だが驚くべきことに、誰一人彼を好まなかった。
アーガスは猜疑心に囚われ、暴力的になり、競争相手を破壊し、協力を拒み、同胞すら使い捨ての道具とした。ある者は「彼の周囲には嵐が走っていた」と言い、ある者は「誰もいないとき彼はエンジンに話しかけていた」と証言した。実に魅力的だ。
強欲を美徳とする文化の中でさえ、彼は恐れられた。皮肉なことに、彼は最も価値ある掘削者であり、Rowark が繁栄したのは彼のおかげだった。それでも制御なき力は模倣者と敵を呼び寄せる。そしてどちらも長生きはできなかった。
結論:
アーガスは「武装化された野心」の典型だ。彼はまた、技術革新と魔術的報いの間に歩く生きた裂け目でもある。アークルーン・エンジンは監視され、追跡され、可能であれば封じ込められねばならない。まだ可能ならば、だが。
「神童」と呼ぶのはやめるべきだ。神童は呪われたエメラルドを背骨に埋め込んでハーネスに繋げたりはしない。神童は死の渦を「拒絶」だけで生還したりはしない。
アーガスは成功譚ではない。
彼は迫り来る災厄なのだ。
エコー・シーカー ノリミス